ASPIRATION(アスピレーション)の話 Vol.5

パブロ・ネルーダ(1904-1973)は、チリの詩人、外交官、政治家、そして1971年ノーベル文学賞授賞。『「超」躍的発想法』の書き出しで彼のスピーチの一部が引用されていますが、そこには私たちに強く訴えるメッセージを放っています。

さまざまな情報を扱う中で大事なことのひとつに、情報の原典にあたるということがあります。翻訳の作業を通じて出会ったパブロ・ネルーダはどのような詩を書いていた人だったのか。批評ではなく彼の詩作に実際に触れて自分の考えと向き合いたくなり2024年の正月は彼の詩集「マチュ・ピチュ山頂」(田村さと子訳・鳳書房刊)を手にとりました。

詩人は、普段私たちがビジネスで使うロジックで語ることをしていません。情念が、情感が、熱情が、さまざまな単語を紡ぎ、アンデスの地で感じた何かを伝えています。パブロ・ネルーダが見ている風景と同じ風景を自分が見ている自信は全くありません。ただ、その比喩が、内省が、叫びが私の心の中の何かを揺さぶるのを感じます。アスピレーションは、表層的な願望ではなくもっと自分の根源に渦巻く欲求から生まれます。『「超」躍的発想法』の冒頭で著者がパブロ・ネルーダのメッセージを引用したことには強い因縁を感じます。

新商品を世の中に出すにあたってターゲットのアスピレーションを理解する、会社の事業を広げていくうえで自分のアスピレーションはどこにあるかを問いそして見出す、まとまりに乱れの予兆を感じる組織の課題を探るにあたって何が根底にある思いなのかダイブしてみる。一見ビジネスと関連性のなさそうなパブロ・ネルーダのメッセージはどう私たちに問いかけるのか。『「超」躍的発想法』には割り切ることができない人間の感情と、安易に日常に流されてしまう私たちの指向をかき乱しつなげる何かがあります。

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