ASPIRATION(アスピレーション)の話 Vol.4
『「超」躍的発想法』の書き出しは、チリの詩人パブロ・ネルーダが1971年ノーベル文学賞授賞式でおこなったスピーチから始まります。このメッセージは私たちが人として生きるうえで非常に示唆に富んだ言葉です。パブロ・ネルーダの名を初めて聞いたという人がほとんどではないかと思いますので、簡単に紹介します。
パブロ・ネルーダ(1904-1973)は、チリの詩人、外交官、政治家。1934年、外交官としてスペインに赴任しスペイン内戦を目の当たりにして共産主義に接近し、人民戦線とスペイン共和国を支援しました。1945年には上院議員に当選。詩人としてノーベル文学賞を受賞し、「マチュピチュの頂」をはじめ多くの詩作も残していますが、同時に左翼系思想家としての一面もあります。彼を題材にした映画には「ネルーダ 大いなる愛の逃亡者」(2016年)や「イル・ポスティーノ」(1994年)があり、そのメッセージと人間性が描かれていて興味深いです。富裕層でありながら貧困や格差の撲滅を何のてらいもなく言う人々を「シャンパン社会主義者」とか「リムジン・リベラル」などと揶揄されますが、パブロ・ネルーダもひょっとしたらそんな一面を持っていた人かもしれません。ただ、そのメッセージは強烈な比喩や表現方法によって人々の心に訴えるものです。だから、ノーベル文学賞ですね。
ASPIRATIONにつながっていく彼の問いかけは、なんなのか?『「超」躍的発想法』の著者はなぜ彼のスピーチを冒頭に持ってこようと考えたのか。そんなことを考えながら読む『「超」躍的発想法』、お勧めします。